tamasen 校長ブログ

2016年03月の記事

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2016年3月25日(金)

樹木の実(ムクロジとオニグルミ)

最近2回は感染症について記述した。私は自然環境を眺めたり、歩き回ったりするのが好きである。自然の中に身を置くと、開放的な気分となり、安心感がある。今回は、趣向を変えて、自分の興味を引いた2種の木の実について記述する。今後は、植物や昆虫について時には記載したいと思っている。

私は若い頃は花がさほど好きではなかった。年を経た現在は、様々な花が好きであるが。若い頃、花は一瞬には華麗であっても受粉のため一時的な化粧であり、やがて汚となって消え去るとの思いがあった。対して、実は世代を繋ぐ実質であり、自然では実生となって次世代へ続くものである。私には、この実生との言葉が好ましく感じられた。月日を経た今でも「実」そのもの、もしくはその概念が好きである。

最初は、ムクロジ(学名:Sapindus mukurossi)である。無患子と書く。つい最近知ったばかりで書くのは少し恥ずかしいが、大いに興味を引かれた木である。本年2月初めの週末に、一宮にある吉備津彦神社を訪れた。神社に樹木があり、落葉していて葉はない。樹枝に丸い実が点々と付いているのが見える(図1)。


曇天で逆光であって、色は判然としないが、周りに妙な実が落ちている。直径が2cm程度の黄褐色、いわゆるべっ甲色の実である。表面にしわがあり、空に透かすと黒い丸いものが見える(図2・3)。


振ると、コトコトと鈍い音がする。妙に可愛い。木の近くに古い杭があり、字は消えかけているが、なんとか「むくろじ」と読める。近くにいた方が、神社の案内人からこの木の説明を受け、果皮の中の実が羽根突きの玉であると聞いたと言う。実を拾って、帰宅しネットで調べてみた。お釈迦さまの逸話から、元来、数珠はこの実(果皮の中の黒い実)を108個繋げたものと言う。神道では、この木を材料にした棍棒で鬼を追い払ったとの逸話もあるようで、日本では、寺・神社に多く植えられたとのことである。無患子の漢字名は子供が患わないとの意味であり、悪い虫を追い払うためにこの黒実を羽子板で突いたとの記載があった。果皮を裂いて、黒実を取り出すと、長径が7-9mm、短径が5-6mmの黒く丸い実が出てきた(図4・5)。実のへその部分(果皮にくっついている部分)のみに褐色の短毛が密生しているが、水で洗って擦ると外れる(図4・5)。


なるほど黒い。かつ、光沢があって硬い。机に落とすとカンと跳ねる。羽根突きの玉である。金づちで叩いても、なかなか割れなかった。ただし、実の中は炒って食べられるとのことである。美味しそうではないが。
 また、べっ甲色の果皮の内側は、裂いてすぐ触ると少し粘り気を感じる。果皮はサポニンを含んで、界面活性作用つまり石鹸作用があると記載されている。試しに、ペットボトルに少量の水と数個分の裂いた果皮を入れて振った。確かに、泡立ったがあわの量はさほどではない。手に付けても石鹸の作用は弱いと思われる。しかし、アメリカやインドではソープ・ツリーもしくはソープナット・ツリーと呼ばれていると言い、昔は石鹸として広く使用されたのであろうか。今でも、これを原料(原料の一部?)とした市販品があると言う。
 なかなかいわれの多い樹木である。私にとっては振るとコトコトと優しい音をたて、弱い振動を感じるのが好ましい。私が実を拾った時、木の枝先にはまだ多くの実が残っていた。風が吹くたびに、一つ一つの実がコトコトと音を立てているであろう。想像すると微笑ましい。その音・その合唱は決して人には聞こえないであろうが。

ちなみに、サポニンの説明を下記する。
まず、糖(グリコン)とそれ以外の物質(アグリコン)が結合したものを配糖体と言う。この中でアグリコンがトリテルペンやステロイドであるものをサポニンと呼ぶ。アグリコンの部分が疎水性(水をはじく)であり、糖の部分は親水性(水に溶ける)である。この構造が油を小さい粒状にして(ミセル化)、水に分散させる(溶けるのではない)(界面活性作用つまり石鹸作用)。通常の固形石鹸は脂肪酸のナトリウム塩であり、脂肪酸の部分が疎水性で、ナトリウムイオンが結合している側が親水性部分である。

次はクルミ、特にオニグルミ(鬼胡桃、学名:Juglans mandshurica var. sachalinensis)、について記す。山をハイキングしていて、沢筋に多い木をサワグルミと教えられた。葉は細長く、茎に双状(対生)である。クルミとの名があるが、大きな実をつけず、食用にはならないとのことであった。その時、日本に自生しているオニグルミは食用になると聞いた。オニグルミは珍しくないとも聞いた。私は、ハイキングは好きであるが、春から秋の初めにかけてしか歩かない。冬風が吹き、寒くなると、どうも山野を歩くのが億劫になる。オニグルミの実に出会うことは長い間なかった。10年ほど前の11月に、所要のついでに、栃木県壬生町の公園を少し散策した。その時に、実の生った樹木を見つけた(図6)。


5cm径程度の褐色を帯びた緑の実が10個程度まとまって付いている(図7)。


何であるかは全く分からい。ただ、樹下に実がいくつか落ちている。あるものは誰かが踏んだのであろうか、つぶれて中の褐色の種様のものが見える。自分でさらに踏みつけてみると、クルミ様のものが出てくる。これがオニグルミかと思った。葉もサワグルミより大きくはあったが、サワグルミに似ているように思えた。実を落とし、踏みつけて中のクルミ・クルミ様のものを持ち帰った。ネットで調べると、確かにオニグルミであった。
 採取したオニグルミは市販されているクルミより小さく、3cm弱である。表面にしわ様の凹凸がある(図8)。


食べられると聞いていたし、ネットでもそのように記されていた。英国で購入したくるみ割り人形で割ろうとしたが、割れない。人形の方が負けそうである。硬い。ナイフではどうにもならず、ハンマーで叩いて、ようやく割れた。バラバラである。中の食用になる部分は小さい(図9)。


取り出して食すと、クルミである。美味しい。市販のものより、少し油は少なめで、濃厚な味に感じた。少し、フライパンで炒ると、より美味しく感じた。
 調べてみると市販のクルミはペルシャグルミとか西洋グルミとか呼ばれている種である。大きいが、こちらはくるみ割り人形できれいに半割に割れる。昔から、クルミ2個を掌で転がしていると脳が活性化されてボケ防止になると言われている。私も市販クルミで行ったことがあるが、しばらく回していると割れる。それに私のような手の小さい者には大きい。オニグルミは小さく、私には適当な大きさである。しかし、実の先端部は尖っており、少し痛い。先端部を削ると具合が良い(図10)。


ただ、掌で転がしていると、表面の凹凸で音が大きいのが難点である。机の引き出しに入れて、時に使うが、全く割れない。頑丈である。なお、掌で転がして運動に使うには栃の実も良い。以前のブログ「栃ノ木(トチノキ)と かんぴょう」で記述した。栃の実は大きさに幅があり、自分に合った大きさを選べる。保存するとしわができるが、どんぐり類と異なり、割れない。こちらも机の引き出しに入れて、時に使う。しわがあっても、掌で転がしている時の音は小さい。時に皮が割れる。この栃の実、現在の一番の用途はまだ小さい孫のおままごとの道具である。
オニグルミを何回か採集し、そのまま乾燥状態で保存して、時にハンマーで割って食べるが、何年たっても味は変わらない。保存がきき、処理なく食べられる優れた保存食である。割るのに苦労し、食用部分の回収率は悪いが。
 野で自ら採取し食べることには、多くの人が喜びを感じる。私もそうである。オニグルミ以外では、栗、山柿、あけび、やまぐわ、むかごなどを取って食べていた。味はともかくも、楽しいものである。もちろん、それぞれに調理が必要なものがあり、山柿は干し柿にしないと食べられない。昔は、勝手に山から採ってきて、家で干し柿にしていた。美味しいものである。最近は冬が温かく、カビが生えることが多く、止めてしまった。

オニグルミ以外に日本に自生し食用になるクルミとしてヒメグルミがある。ネットで調べていて分かった。そこで思い出したのである。大学時代のサッカー部の同輩が島根出身であった。ある時、小さなハート型のクルミをくれた。松江城の城内に木があると言った。表面の凹凸はさほどなかったと記憶している。ネットの記載をみるとヒメグルミであろう。その時の実は、失くしてしまっている。その友人とはたまに岡山の会合で会うが、今度は島根に行ってみたくなった。

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